生誕80年記念アルバム
If I Can Dream: Elvis Presley With The Royal Philharmonic Orchestra』
全英アルバムヒットチャートが初登場で1位の快挙に輝いた。
このアルバムの素晴らしさは、演奏が変わったことで、オリジナルよりエルヴィスの声が柔らかくしっとりして、ささやくように聴こえることだ。
フィル・スペクターもエルヴィスの声に惚れていた。
フィル・スペクターもエルヴィスの声に惚れていた。
フィル・スペクターはビートルズの『レット・イット・ビー』、ジョン・レノンの『イマジン』『ロックンロール』をプロデュースしたことでも有名だが、なによりロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」だろう。ラジオを聴くことができる国なら老若男女を問わずほとんどの人が彼のプロデュースした曲を耳にしているはずだ。ある時期、イギリスに渡ったフィルとビートルズとの関わりは深く、初めてアメリカに行く時もフィルにサポートを依頼している。
2003年、彼の邸宅で起こった女性の射殺事件で裁判中だが、彼を知る人は事件前からその気性に心配を寄せていた。相手が誰であろうが彼は人の意見に耳を傾けなかった。ジョン・レノンの『ロックンロール』では、どっちもどっちだが、酒びたりのジョン・レノンに怒り、スタジオの天井をピストルで撃ち抜き、マスター・テープを持ったまま姿をくらましている。
フィル・スペクターはスタジオで試行錯誤をくりかえしヒット曲を連発した最初のロックミュージックのプロデューサーだった。彼に影響を受け、ビーチボーイズ、ビートルズは変容し、その影響を受けて今日の音楽業界のかたちがある。
彼以前のスタイルは、エルヴィスや美空ひばりがやってのけたように、一発でレコーディングを決めてしまうようなライブと呼んでいいようなスタイルだ。ハートを大事にした彼らは生涯このスタイルを曲げなかった。それはスタジオで何度も何度も試行錯誤するフィル・スペクターの対極に存在した。
そのフィル・スペクターが、「エルヴィスならなんでもできた」と言ったのは興味深いと同時にもし両者が組んだらどうしたかと想像するだけで楽しいが、おそらくエルヴィスは組むことはなかっただろう。
さて、エルヴィスが他界したことで、日本でのコンサートも実現したし、ヒットしなかった映画挿入曲<おしゃべりはやめて>をミリオンセラーにしたし、今回はセクシーな歌詞のロックナンバー<バーニング・ラブ>さえクラシックに変えてしまった。
「イフ・アイ・キャン・ドリーム:エルヴィス・プレスリー・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団」の全英ヒットチャートナンバーワンヒットだ。
1. バーニング・ラヴ
2. イッツ・ナウ・オア・ネヴァー
3. ラヴ・ミー・テンダー
4. フィーヴァー (feat.マイケル・ブーブレ)
5. 明日に架ける橋
6. アンド・ザ・グラス・ウォント・ペイ・ノー・マインド
7. ふられた気持ち
8. ゼアズ・オールウェイズ・ミー
9. 好きにならずにいられない
10. イン・ザ・ゲットー
11. 偉大なるかな神
12. スティームローラー・ブルース
13. アメリカの祈り
14. イフ・アイ・キャン・ドリーム(明日への願い)
なんだかエルヴィスが王子様になってディズニーワールドに忍び込んだような雰囲気。
キング・オブ・ロックンロール生誕80年記念ニュー・アルバム。生前のエルヴィスの声が録りおろしのロイヤル・フィルハーモニーのゴージャスな演奏をバックに見事に蘇る、涙ものの夢のアルバム。
ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで、70年代から活躍を続け、『フックト・オン・クラシックス』という大ヒット・シリーズの生みの親でもあるドン・リードマンとニック・パトリック、二人の名高いプロデューサーのもとでレコーディング。
さらにジャズ・ポップス界のベストセラー・シンガー、マイケル・ブーブレが「フィーヴァー」で奇跡のデュエットで参加。
アメリカ音楽界からのクリスマスに先駆けた贈り物となった。
加えて、ロックンロールの殿堂入りを果たしたギター・ヒーロー、デュアン・エディが「アメリカの祈り」と「明日に架ける橋」に参加。
イタリアのオペラ・ポップ・トリオ、イル・ヴォーロが「イッツ・ナウ・オア・ネヴァー」に参加している点も注目。
生誕80年の記念の年を飾るにふさわしい夢のアルバムが完成した。
それでは涙が自然に溢れる<好きにならずにいられない><ラヴ・ミー・テンダー>をはじめ、2015年のエルヴィスの世界へようこそ。
エルヴィスとは何者だったのか?
エルヴィス・プレスリーの本質が響き渡ります。