2017年4月17日月曜日

ブルー・スエード・シューズ

Blue suede shoes / Elvis Presley




腕と前髪をダランと落とし、暗闇から表れた男は、ニヒルに笑うより先に、全身を震わせ、いきなり突進する。一、ニを手早く片付けて一刻も早く三に辿りつくかのようにだ。暗闇を金色に照らすパワーは金色よりも金色に光りながら青い靴に光りを当てる。

繰り返されるフレーズ
なにをしたっていいけれど、ブルー・スエード・シューズだけは踏まないで/Well you can do anything
But stay of my blue suede shoes
は真実へ向かう曇りのない声。


エルヴィスがどこから来てどこへ行こうとしていたのか、はっきり聴こえてくる声だ!
さあ、やってくれ!ピュア・ロックンロール!
何度聴いてもゴールド・スタンダードだ。
チャックベリーだって同感だとはしゃぐだろう。


*一つめは金のため
二つめはショーのため
三で用意ができたなら、さあ行くぜ
でも俺のブルー・スエード・シューズを踏まないで
なにをしたっていいけれど
ブルー・スエード・シューズだけは踏まないで

俺のことを突き倒し
顔を踏んづけたって構わない
町中に悪口を言いふらしてもいいさ
でもどんなことをしようとも
俺の靴だけには近寄るな
俺のブルー・スエードシューズを踏まないで
なにをしたていいけれど
ブルースエード・シューズだけは踏まないで
(よし、行ぐせ!)
(一発キメてやれ!)

俺の家を燃やそうが
大事な車を盗もうが
酒を飲んじまっても構わない
どんなことをしようとも
俺の靴だけには近寄るな
俺のブルー・スエード・シューズを踏まないで
なにをしたていいけれど
ブルー・スエード・シューズだけは踏まないで

(ロックしな!)

*アドリブでくり返し

ブルー、ブルー、ブルー・スエード・シューズ
ブルー、ブルー、ブルー・スエード・シューズ
ブルー、ブルー、ブルー・スエード・シューズ
ブルー、ブルー、ブルー・スエード・シューズ
なにをしたっていいけれど
ブルー・スエード・シューズだけは踏まないで








1955年12月、カール・パーキンズが録音、翌年3月エルヴィスより先にR&Bチャートに白人初のチャート・インとなった。


そのせいか、一部にはエルヴィスよりカール・パーキンズの方が才能があったとか、エルヴィスはカールのコピーだとか、ロックンロールがLPに閉じ込められたのと同じようにつまらない話がある。<ハウンドドッグ>にしたってそうだ。

キングの真実は55年のサンでの震え上がるような名曲の成功、10月の全米ツアー『エルヴィス・プレスリー・ジャンボリー』、56年1月のTV出演、2月<ハートブレイク・ホテル>の全米チャート・イン、その後の実績が物語っている。

でもこのすてきな曲が、そんなふうに扱われるのは、とても悲しいことだ。きれいなブルーの靴を汚す戯言でしかない。

ロックンロールは下劣だ、エルヴィスは猥褻だとレコードを焼き払われ、コンサートが禁止になっても、エルヴィスもカールも、夢に向かって突進していたのだ。

挑戦するハートに優劣なんてありはしない。


これは45回転のドーナツで作られた教科書だ。




エルヴィスがいた。